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薔薇クラス、最後の2時間に出現する竜宮城は、大阪の『お姉さまクラブ ドドール』からヒントを得たお店だ。
お酒を提供するのではない。
竜宮城は、漢達が可愛らしく女装し、地域住民のお客さんに花をプレゼントするお店だ。
昨年も、園芸部が育てた花は飛ぶように売れた。
今年の花も種類は豊富で生育も良い。
丸山先生の顔を、花で浮かび上がらせる取り組みのおかげで、たくさんの花が咲いているのだ。
感謝の気持ちを込めて、小さな花束をプレゼントするお店竜宮城。
もちろん笑いも忘れない。
女装した漢達は、決め台詞とともに花束を渡す約束だ。
当日は、海の中をイメージした店内で、ドドールのお姉さま方と漢達、そしてもちろん教育委員会の面々も美しく舞ってもらう。
「ワシはっ!ワシはやらんぞ!女装など、誰がするかっ!」
若松教育長のコレも想定内だ。
脇田は、ポケットからボイスレコーダーを取り出した。
『寛ちゃん、当日を楽しみにしてるわ。美しく変身してなかったら……わかってるやろ?花束よろしく』
「華しゃあああん!!わかってるよ!華しゃんに豪華な花束をプレゼントするっ!寛ちゃん頑張る!」
「僕は嫌ですからね。教育長お一人で参加して下さい」
竹田は乱暴にイスを倒し、教室を出ていった。
廊下で時任先生とすれ違う。
「あら、竹田さんは今から衣装合わせでは?楽しみですね、応援しています」
「るるるるりすわぁぁんーー!僕は頑張りますから!ど、どんな衣装が好きですか?」
「そうですね……峰不二子かしら」
「任せて下さい。誰よりもボワンボワンな不二子ちゃんになってみせますからっ!」
ルパ〜ン、ルパ〜ンと叫びながら、お馬鹿な竹田は教室に逆戻り。
時任先生のため息が廊下に染みた。
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