唇に愛を#lip

10/12

19人が本棚に入れています
本棚に追加
/323ページ
その向かい側が、写真部のフォトスタジオになっている。 記念撮影に、映えスポットの設置──姥桜学園で何より映えるのは理事長オンリー。 写真部は、理事長をガッチリと押さえていた。 「時間限定の理事長とツーショット写真ですって!?」 「家宝にするぅ~もう、遺影はそれ一択!」 混雑と大行列が予測されるフォトスタジオだ。 校舎でも、商店街の雰囲気を醸し出している。 1階のMJGクラスは、割烹着姿がマストな漬け物屋さんだ。 隣には、本来2階に教室があるラシード先生のクラスが移動して来ている。 「漬け物にはお茶。お茶には漬け物。相乗効果とはまさに私のクラスです」 夏合宿でお世話になった善光寺の茶屋をモチーフにした、純、純、和風のお休み処だ。 2階に上がると、手前にガラガラ福引抽選所がある。 黒木先生のクラスだ。 巨大なガラガラと、仕掛け感満載の教室。 お客さんである地域住民達は、無事にガラガラを回す事が出来るのだろか。 もうひとつの教室には、善光寺の文秀と全秀が、数珠やお守りを販売している。 3階には、薔薇クラスのパンケーキ屋と、桔梗クラスのフレッシュジュースだ。 どちらも、甘い香りがお客さんを引き寄せていた。 校庭には、麒麟COMPANYのカレー屋と、空蝉の宿からはおでんの屋台が出ている。 そして、明日限定で花凜ちゃんの痛烈コロッケ屋が参戦する。 商店街の店主達は、土日のどちらか参加出来るように都合をつけて楽しみにしていた。 昨年よりもさらに沢山の人出に、パトロールする仏クラスも大忙しだ。 2階をパトロールしていた仏クラスは、文秀と全秀に遭遇し、叫びながら逃げ出す始末。 「落ち着きなさい。喝ーっ!喝、喝!」 「だってよ~苦手なんだよ善光寺の坊主達は!」 ──日々の修行の賜物です。 やはり、目で語る文秀。
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加