唇に愛を#lip

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時任先生のクラスでは、7台のミキサーがフル稼働しても、行列は続くよどこまでも状態だった。 「これ以上お待たせしては……るり、絞ります!」 松本、動きます!よりも強力な、るり、絞ります。 時任先生が半分に切ったグレープフルーツをむんずと掴むと、力いっぱい絞り出す。 みるみる溢れる果汁、慌ててボウルで受ける生徒達。 グレープフルーツの次はオレンジ、桃、ぶどう、最後に梨を手に取った時任先生。 呼吸を整える。 生徒もお客さんも、固唾を呑んで見守っている。 「ふん・ふん・ふぅぅううんっ!」 三拍子で、梨汁ブッシャーだ。 「お母さん、ふなっしーよりも凄い人がいるよ?」 「ふなっしー先生、頑張れー」 行列は、違う意味で増えて行く。 午前中まで暇なガラガラ抽選所は、午後になり俄然活気が出てきた。 買い物しまくったお客さんの福引券が、たまってくる時間帯だからだ。 「あのぅ……福引券──」 言い終わらないうちに、福引所に引きずり込まれたお客さん、巨大ガラガラの前で不敵に笑う黒木先生と対決だ。 「おぉ、3枚の福引券だな。ならばチャンスは3回だ」 お客さん、素直にガラガラを回せるなどと思うなかれ。 回したかったら、黒木先生と勝負だ。 スポーツ、文学、一般問題から、ひとつ選択して勝負する。 「そうね~、スポーツ問題にしようかしら?」 ジーザス!商店街、唐揚げ屋さんの気のいい奥さん。 いつも、姥桜学園の乙女達にオマケしてくれる天使な奥さん。 「よしっ!今からグランド一周だ。早いものがちだぞ」 黒木先生は、みるみる小さくなって見えなくなる。 「もうっ!これだから姥桜学園祭は油断大敵なのよ~」 唐揚げ屋の奥さん、ランニングには負けたけど、ガラガラ2回は回せた。 「オマケ返しだぞ?いつもありがとう」
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