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ようやく順番が回って来て、あやちゃんはバナナジュースにご満悦だ。
「ごろう君、みてみて?ときとう先生が手でしぼってる」
「見なかった事に。大人の事情ですよ?」
隣には、薔薇クラスのパンケーキ屋さんだが、店内にはおじいちゃん、おばあちゃんがパンケーキを食べている。
「あやちゃんも食べましょう。そこに座って注文しましょうか」
「あら?ごろう君じゃない!やだやだやだ〜あやちゃんとデート?コノッ、コノ〜。んん?相変わらず顔色が悪いわね~」
薔薇乙女達に散々からかわれ、火車ローランドごろうはタジタジだ。
注文していないのに、派手なラブラブパンケーキが運ばれてくる。
「わぁー、美味しそう!」
仲良く半分こでパンケーキを頬張れば、あやちゃんのお顔がますます良いお顔になる。
「ホウホウ。若いもんはええな」
「まったく、寿命が延びるの」
お口についたチョコや生クリームを丁寧に拭いて、火車ローランドごろうとあやちゃんはパンケーキ屋を後にした。
「次は、フォトスタジオで記念写真を撮りましょうか。私は多分写らないと思いますが、あやちゃんが望むなら、気合いと根性で顔くらいは──」
「ほんとに?ごろう君とおしゃしん撮れるのたのしみー」
フォトスタジオは理事長パニックが終わり、空いている。
「いらっしゃい、かわいいお客さん。二人で撮るの?」
「うん!ごろう君といっしょに」
あやちゃんが、どんな背景がいいか選んでいるうちに、火車ローランドごろうは全集中していた。
このさい、鬼の力を借りてでも写真に写らなければならない。
あやちゃんを悲しませる事=死あるのみ。
「はい、笑って笑って〜パチリ!」
あやちゃんが選んだ海の中の背景で、あやちゃんはエンゼルフィッシュ風に、ごろう君はイルカ風に変身した。
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