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「あやちゃん、黒木先生と筋肉ダンスで勝負だ。まだ誰も勝った事がないがな」
かわいいあやちゃんと、黒木先生の筋肉ダンスは、一気に人を集めてしまう。
やんややんやの大声援だ。
火車ローランドごろうも、声を枯らして応援した。
「あやちゃん、先生の負けだ。ガラガラ5回ゲットだぜ」
「ありがとう、黒木せんせい」
一生懸命に、まだない筋肉を誇示させながらダンスするあやちゃんの可愛らしさは、破壊力抜群だった。
あやちゃん、ごろう君に手伝ってもらい、巨大ガラガラを回し始めた。
1回目、赤玉。
2回目、緑玉。
3回目、赤玉。
4回目、黒玉。
5回目、紫玉。
カランカランカラン。
カランカランカラン。
アマリリス乙女が鐘を激しく鳴らしている。
「おめでとう、あやちゃん!大当たりよ~」
火車ローランドごろうが持つエコバッグに、商品がどんどん入れられて行く。
赤玉は花束引き換え券、緑玉はたこ焼き引き換え券、黒玉は空蝉の宿宿泊券。
そして紫玉は、和歌山善光寺宿坊ご招待券だ。
「凄いですよ、あやちゃん!火車ローランドごろうは感嘆しています。空蝉はともかく、和歌山善光寺ご招待券とは、旅行券もびっくりな大当たりです。そうだ、あやちゃん。善光寺のお店にも行きましょう。パンフなどいただいて──」
「すごいの?やったーあや、がんばったよごろう君」
ハイテンションの二人が向かうのは、文秀と全秀がいるお守りのお店だ。
二人を見るなり、文秀は無言だが目を剥いている。
──妖怪……でしょうか。これは一体……。
「さぁ、あやちゃん。好きなお守りを選んで下さい。あ、お坊さま、善光寺のパンフなどあればいただきたい。我がスィートハニーあやちゃんが、ガラガラで善光寺宿坊ご招待券を当てたのです。それは、それは見事な当てっぷりで、あぁ……敵意はありませんから気を放たないで。あやちゃんの前だけは、スマートな男でいたいのです」
──幽霊だけでなく、いにしえの妖怪までも。
永慶さん、お察しします。我が友よ。
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