エスコートごろう#love

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薔薇クラスでは、可憐なミニ花束が秘密裏でどんどん教室に運ばれていた。 陣頭指揮はもちろん、仏クラスの戸塚だ。 それと並行して、もう1つの秘密が着々と進められている。 「何度も言うけど!!花束を渡すのに、この格好はいるか!普通でいいだろ、普通で!」 「往生際が悪いわん、勇太。こんなに美しくしてあげてるのに~チュッ!」 どさくさ紛れに唇を奪われた勇太は、15分ほど魂が抜けてしまった。 今だ、チャンスだと、ドドールのお姉さま方は勇太を仕上げていく。 奥では、怒声と罵声がやかましい。 竹田と若松教育長のささやかな抵抗だ。 「この教育委員会、教育長、若松寛治がっ!この若松寛治がだ!こんな格好をして何になるーーー!!」 「おとなしくせんか、ワレ!ガタガタぬかすとちゃーっすぞ!」 ドドールのお姉さま方は、一流のホステスさんだ。 ドドール名物の舞台では、乃木坂?宝塚?そんなもん私達には敵いませんがと、ダンスに歌にお笑いに、お客さんを喜ばしている。 嫌いな言葉は、ニューハーフとオカマバー。 彼女達のプライドは、かなり高いのだ。 その彼女達を怒らすと、出身地泉州岸和田育ちのマリリンが豹変する。 「キャー!大変!だんじり命のマリリンを怒らせた~~しーらないっ!」 若松教育長はそれでも抵抗をしている。 竹田はとっくに諦めて、後は時任先生に褒められたいから、峰不二子をひたすら目指している。 「若松、いっぺんだんじりに縛り付けて、回してみたろか?ああん?」 マリリンの迫力に、若松教育長はようやくおとなしくなった。 「若松の顔は、他の人より100倍時間がかかるのに〜。マリリンの言うとおりにしなさいよねっ!」 殿じい、井手、高田、勇太は完成間近だ。 端正な顔立ちである殿じいは、ブルーのドレスがよく似合う。 ま・さ・に・マーメイドのようだ。
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