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まだ明るい校庭の提灯に灯りがともり、ユラユラと揺れだした。
気づいたお客さんが提灯を見上げると、校庭の奥から、ド派手な一団が現れた。
先頭に、提灯を掲げた薔薇乙女が二人。
その後には山崎花魁が、しゃなありしゃなりと歩いていた。
山崎の後には塗り輿、その後には、チャイナドレスの高田、舞妓の井手、マーメイドドレスの殿じい、峰不二子もどきの竹田、アラブの女若松教育長が続いている。
校庭を、見せつけるようにゆっくりと歩く一団に、地域住民達が集まりだした。
「深紅の薔薇クラス、地域の皆様へ感謝の花魁道中を開催いたしまする。さぁ、怖がらずに花束を受け取って下さいませ」
「おいでなんし」
山崎花魁が、近くにいた自治会長に可憐な花束を手渡す。
「いつもありがとうございんす」
美しき山崎花魁からブルーのリボンが巻かれた花束を受け取り、思わずボーッと見惚れてしまった自治会長。
商工会会長は、シャオリン高田に花束をもらい、頬を染めている。
「ポ、ポポ、ポンパパーンの高田さん?マジっすか?マジで?ヤバいなぁー惚れそうッス!」
山崎が塗り輿に乗ると、担ぎての人はキビキビと歩き出す。
「花魁道中の始まりだ。一同、進め!」
……聖子ちゃん、ご苦労様です。
花魁道中が通る所に、歓声と少しの悲鳴が湧き起こる。
MJG達が、目をパチクリさせている。
殿じいは、思い切って投げキッスをしてみる。
「たまげたぞい!勇太かぁ?勇太が花嫁さんになっておる!可愛らしいの〜フォッフォッ」
「……1回しか言わないからな。じいちゃん、ばあちゃん……いつもありがとう」
「勇太、じいちゃんこそありがとうじゃ」
「ばあちゃん、生きがいができたわ。ありがとう勇太」
陰で丸山先生と、勇太の両親がこっそり見ていた。
勇太の成長を目の当たりにした両親は、そっと涙を拭いていた。
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