18人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、花凛ちゃんにもリミットはある。
子沢山に憧れる花凛ちゃん、三十路までには結婚したい。
そして未知なる痛み、出産!
たっぷりと体験し、我が子をたくさん育てたい。
究極のドM長山花凛は、焦りだしていた。
──結婚は、やっぱり恵ちゃんとしたい。花凛には恵ちゃんが一番心地いいもん。
怒った顔は見た事ない。
のんびりおおらかで、懐がでかい恵介。
確かに、気はきかないしマメでもないが、そこは教育次第だと思っている。
「たまには〜サプライズみたいなクリスマス、花凛もしたいなぁ」
花凛ちゃんの呟きは、カフェのカレーを幸せそうに頬張っている恵介に届いたのか?
悩ましいところだ。
姥桜学園終業式を明日に控え、先生達は忙しくプリントをまとめていた。
宿題という名のプリントだ。
「さて、こんなもんかな?おや、花凛。手が止まっているじゃないか」
黒木先生に指摘され、慌てた花凛ちゃんはせっかくまとめたプリントを、バサバサと床に落としてしまった。
黒木先生が、ニヤニヤと近づいてくる。
「なんだ、なんだ?クリスマスが近いからうわの空ってか?このっこのぅ!」
「違いますよぉ~花凛、クリスマスなんて嫌いですから」
花凛ちゃんに彼氏がいるのはみんな知っている。
お節介な教師軍団、結婚は近いみたいだ、出産はどうだ、子供は姥桜学園へ、などと楽しい妄想が飛び交っていた。
「なんだ?クリスマス前に喧嘩か?」
「喧嘩じゃありません、これは戦いですぅ!」
大量のプリントを抱えて、花凛ちゃんはドスドスとMJGの教室に向かって行った。
他の先生達は心配顔だ。
「恵介君は、あまりスマートなタイプではありません。長山先生を失望させるプランだったのでは?お家クリスマスとか……」
大当たりだラシード先生。
最初のコメントを投稿しよう!