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「まさか。ボンボンの恵介が、そんな地味〜なクリスマスなどするか?」
もう、4年連続地味なクリスマスだ黒木先生。
「では、恵介君の仕事が忙しくてクリスマスができないのかしら……」
恵介の休暇はバッチリ、イブもクリスマスも暇だ時任先生。
恵介はサプライズなど考えもしない。
大好きな花凛と、ゆっくり過ごせたら満足な──今どきにしてはちとイタイ男だった。
一方、MJGの教室ではクリスマスのクの字もでない。
乙女達はクリスマスよりもお正月に向かって、気が逸っているようだ。
逸っていても、特に何か作る訳でもない。
おじいちゃん、おばあちゃん、食べれる分だけお正月。
まぁ、気分を味わうのだが、あっという間の1年に、毎年気が焦るのだ。
「やっぱり紅白歌合戦かね?年越し蕎麦はやめておこう。元旦が辛いから」
「元旦はやっぱり、テレビ三昧かの」
「3日目の早朝が、初詣の穴場時間かもしれん」
そんな話にいつもなら、笑ってノッてくる花凛ちゃんが、なぜか今日は浮かない顔で、MJGは心配になる。
「花凛ちゃん、お腹でも痛いのかい?」
「ホレ、正露丸のむか?」
MJGの正露丸は糖衣ではないから、匂いが教室に充満してしまう。
その匂いで花凛ちゃん、やっと正気に戻る。
「ごめんなさい、お腹は痛くないですよ〜。速やかにお薬をしまいましょうね?」
「お腹じゃないなら、なんか悩み事かね?お金か?家か?税金か?」
「いえいえ、全部大丈夫かなぁ~。優しいね、おじいちゃん、おばあちゃん達は」
褒められたMJG、嬉しくてますます張り切りだす。
「あれじゃろ!今晩のおかず!」
無邪気にも程があるMJGだがさすが年の功だ、何人かのおばあちゃんは、ぼんやりと気付いている。
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