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「身体がシャキッとします。私の日本語、かなり上手くなりました」
「うむ。ラシード先生は始めから日本語ペラペラだがな?奥ゆかしいな、いつまでも!」
腰に手を当て梅ジュース、ラシード先生と黒木先生は身体からまだ湯気が立つようにホカホカだ。
永慶先生は、最後に冷水を浴びて身体を清めている。
一番乗りで入ってきた一般客は、その様子に驚いていた。
宴会まで自由に過ごす先生達と、宿坊の一部屋を根城にしている幽霊生徒二人。
マナーの悪いお客にちょっかいを出し、幽霊なりに楽しんでいる。
温泉で温まった身体が冷える間もなく、姥桜学園忘年会は始まった。
理事長の短い挨拶の後、無礼講ですの声が掛かると次々にお酒が運ばれてきた。
「……2年前、ぶらぶら亭での歓迎会を思い出すな?」
理事長、黒木先生、丸山先生以外の先生達が学園に赴任し、そこから始まった姥桜伝説の数々が走馬燈のように浮かんだ。
「X先生か。若かったな、山崎先生も」
黒木先生が山崎の鼻っ面に空になったグラスを突きだす。
「恥ずかしいから止めて下さい」
山崎は、黒木先生にビールを注ぎながら照れている。
何度黒木先生に絞め技をかけられ、何度丸山先生に心を読まれただろう。
そして、薔薇クラスの生徒達と何度もぶつかった。
そのたびに天井のパトランプが鳴り、理事長がやってくる。
「山崎先生がパトランプを鳴らした最多の教師です。この記録は破られないのでは?」
「ラシード先生だって、幽霊生徒に苦心されて……正直、チビッた日も……」
怖がりのラシード先生、地獄に仏クラス関連行事では確かに数回チビッてる。
「シー、シー!それはナイショですよ?日本語わかりません!」
赤くなったラシード先生、話を変える作戦だ。
「しかし私は、永慶先生のありがたい御札で、いつも守ってもらいましたから」
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