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「僕は、成長出来ているのかな?」
X先生と揶揄されていたあの頃は、息を吸うのも苦しかった。
他の先生みたいに、なあなあで適当な教師になればそれなりに上手くやっていけたかもしれない。
それを拒んだのは、山崎の教師としての理想と情熱だ。
情熱は、木っ端微塵に壊されて、踏みにじられたけど、姥桜学園に救われた。
「薔薇生徒に教えられて、薔薇生徒と一緒に悪戦苦闘して、僕は今の僕になれた」
支え合う。
そんな事はまったく意識していなかったあの頃、自分一人で何でも出来ると思い上がっていた頃。
「熱血が聞いて呆れるな。熱血教師じゃなくて、傲慢教師じゃないか……」
「その事に気付けて良かったですね~、山崎先生」
ボサボサ頭のまま、丸山先生も隣に来て山を見上げた。
「私も、姥桜学園の先生と生徒、そして勇太にも教えられました〜まだまだですよ、私達は。さぁ、Fight〜」
辺りが明るくなってきた。
黒木先生が、歯ブラシをシャカシャカさせながら丸山先生の隣に。
永慶先生とラシード先生も、黙って山の頂上を見上げる。
長山先生は無意識に婚約指輪を触って、時任先生は長山先生の肩に手を置いている。
理事長が出てくると、どんどんまわりが明るくなってくる。
「皆さん、来年も姥桜学園を盛り上げていきましょう。学びに年齢など関係ありません!」
朝日を頬に受けて、白い息を吐きながら上る姥桜学園という階段は、どこまでも高く続いている。
理事長率いるこの先生達が諦めない限り、学園は新しい乙女達を迎えていくのだろう。
何度も
何度も。
「さぁ、朝ごはんを食べて善光寺へ出発しましょう」
今日は一日、お手伝いに勤しむ。
善光寺のお坊さま達も、心待ちにしている。
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