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「この出逢いが奇跡なら、私はひたすら感謝しなくては」
そんな先生達を、年末だけは癒して休ませてあげたい。
そしてまた、戦いのような教壇に立つ為に。
穏やかに勉強を教えるだけでは、この学園の教師は勤まらない。
時に生徒とぶつかり、喧嘩し、未知なる学びの本質に突撃していく。
「もう少しゆっくりさせてあげたかったけど……善光寺のお手伝いは、先生達にとっても学びかもしれません」
読経がフィナーレをむかえる。
冷たい山の空気を切り裂いて、ビリビリと大秀の声が響く。
文秀、南秀、全秀、若いお坊さまの声が重なると、山全体が響き出す。
そんな中、山崎や時任先生に支えられ、滝行の一行が帰ってきた。
毛秀も一人の若者を抱えている。
後日談。
張り切って白い滝修行用の着物を脱ぎ、直に滝に打たれた3人は、20秒ほどで意識朦朧となったらしい。
時任先生が担いできた毛布に包まり、焚き火の周りを占領してもガタガタと震えが止まらない。
地元民二人は落ち着いた所作で真言を唱え、来年の抱負まで叫んだ。
毛秀や先生達が思わずにっこりするくらい完璧だった。
「やってやるぜ!」
一人目は、川に足を入れた瞬間から震え出した。
振り返り、振り返り、
──マジ?これ、マジ死ぬよ?
目がそう言っていた。
毛秀一同、無視。
「あ%¥+%&&&#@%ーーーー!」
秒殺。
二人目は、なかなかのマッチョな身体だった。
「筋肉の鎧に不可能はナーシ!」
滝に行くまでに苔に足を取られ、スッテンバッシャンと、水しぶきが激しい。
「%5¥##40&&642@@@!!」
秒殺アゲイン。
三人目、滝に打たれる事もなく素通りしてリタイア。
三人の将来が心配になった山崎だった。
滝行一行は、暖かくした部屋で身体を休める。
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