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「ユウタくん、いい加減にしてくださいね? 先週は宿題をやってこず、今日は授業中に猫のモノマネですか? このことはお家の方に報告いたします、いいですね?」
結局その日も、クロカゲのおかげでボクはまた居残りになった。
帰りを急ぐために先週と同じように、クロカゲを拾ってしまったあの細い道に入る。
今日はヤケに暗くて、目をこらしながら自転車をこいだ。
その間も終始、クロカゲはニャーニャーとうるさく鳴いている。
いつもなら何か食べさせている時間だ。
ボクだってお腹が空いているよ、でもガマンしてる。
今日だって帰ったら先にクロカゲにエサをあげるつもりだ。
だから、だから、だから!
「うるさい、うるさい、うるさーい!! そんなにニャーニャーニャーニャー鳴かないでよ!! 黙ってよ!」
ブレーキを握り、自転車を止めて足元のクロカゲを見た。
暗闇で金色の目はボクを見上げていた。
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