36人が本棚に入れています
本棚に追加
影との出会いは一週間前のこと。
いつもは通らない道だった。
車一台がやっと通れるような、細い外灯の少ない暗い道を、自転車のライトを目印に家を目指す。
『帰りは、明るい道を大回りして帰ってきなさいね』
塾帰りはいつもそうするように言われていたけど、今日は守れなかった。
6年生になって初めての塾の日、宿題を忘れて居残りをした。いつもならとっくに家についている時間だから、きっとお母さんは心配しているはず。
人通りがないのは、みんな明るい大通りを歩いているからだ。
誰もいないことに心細くなって、必死にペダルをこぐ。
「え?」
自転車のライトに照らされて、目の前に突然浮かび上がった金色の光が二つ。
ボクは慌ててブレーキをギュッと握った。
最初のコメントを投稿しよう!