クロカゲ

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 お隣の白猫のミイちゃんは、可愛い猫だった。  一人暮らしだったお隣のおばあちゃんが、三日ほど急に入院することになって、預かることになったのだ。  あまりニャーニャー鳴かなくて、手のかからないおっとりした猫だった。  それにくらべて、はとっても手がかかる。  黒猫で影の中に住んでるから、クロカゲと名前をつけた。  朝はボクよりも早く目が覚めて、お腹が空いたとニャーニャー鳴く。  猫缶をあげれば大人しくなるんだけど、それだってボクが自分のおこづかいで買いに行ったやつだ。  給食のにおいがただよい始めると、学校でもニャーニャーうるさいから、友達に気付かれないようにカリカリをあげている。  間に合わなくて今日みたいに鳴くこともある。  だからボクは怪しまれないように猫の鳴きまねでごまかすのだ。  恥ずかしくて仕方がない。  お風呂だって大変だ。  ボクがお湯につかれば影もひきずられて、その度にクロカゲが怒る。  ずっとシャワーだけだ、それだってクロカゲは「シャアッ」って嫌がっているから影にかけないように気を付けていた。  クロカゲと一緒なかぎり、ボクはもう温泉にだって行けやしない。  性格だってよくないと思う。  とっても気まぐれで、お腹いっぱいになるとなぜかボクの足元に影がからみついてくる。  それから、自分が行きたい方向ではない方に歩きだすと、ボクをシャアァと怒る。  毎日毎日、この一週間ずっとクロカゲに振り回されっぱなし。  本当に疲れてきちゃった。
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