それぞれの想い

48/56
622人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
「アルとルルの事。 あの二人は、あなたと別れを決めたあの日に出来た、あなたとの子供なの。 帰国してから暫くして妊娠がわかって…… 、迷ったけれど、産む事を決めたの 」  アミールはじっと黙って私の話を聞いていた。 「私、施設で育ったの。 伊織とは施設仲間で、私にとっては兄的存在。 身内って呼べるのは彼だけだった。 ずっと、ずっと夢だったの…… 、 好きな人と家族を作るのが。だから、双子が出来た時、迷ったけれど、どうしても産もうって……。 大好きな、アミールとの子供だったから 」  私の告白に、アミールは目を見開いて、息を呑んだ。 「…… 大好き…… 」  ボソっと、私の言葉を反芻する。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!