別れ

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 両親からの愛情を知らない私は、施設の子達が両親にあった後、キラキラ輝くのを、羨ましいとは思っていたが、それが親から与えられる、愛情を感じて得られるものだと言う事が、よくわからなかった。  わからないと言うよりは、知らない、と言う方が正しい。  親からの愛情を、受けた事がないのだから仕方がない。  伊織から無条件に守って貰って、大切にされているのは、いつも感じている。  きっと、これが一番親から与えられる愛情、と言うものに近い感情だと思う。   「好きって気持ちか…… んー、そうだなぁ…… 自分でも気がつかないうちに、その人の事考えてたり、顔が浮かんだり、会いたいなぁって思って、こう、キュウーッて心が切なくなったりとか? 姿を見かけたらその日はもうハッピーってなって、ホッコリするの」 「顔が浮かんだり、会いたい…… 」  アミールの顔を思い浮かべ、ホッコリ暖かい気持ちが、湧き上がって頬が緩む。 「ふふふっ…… 」 「で、これが曲者で、好きな人が他の女と仲良いとか、出かけたとか、誰それが好きらしいとか聞いたりしするでしょ。 そうすると、落ち込んだり、相手の女にイライラしたり、モヤモヤしたりとか、ブルーってなるの。それも全部、好きって気持ちからなんだよ」  はあーーっと柴田は深く息を吐いて、 「恋って本当厄介だ」 と、笑った。 「イライラ、モヤモヤ…… 」  アミールとアイシャが仲良くしている所を思い浮かべると、あの気持ちの悪いモヤモヤとしたものが、身体の奥底から湧き上がってくる。  眉毛を寄せ、口を真一文字にグッと引き結び固まる私に、 「相葉ちゃん、さっきからしているその百面相、誰の事を思い浮かべてるの? その人の事考えてる相葉ちゃん、どっから見ても恋する乙女だよ」  言われて、またアミールの事を考えていた事にハッとする。 「いつも、作業療法士の伊織さんと一緒だから、彼と付き合ってるんだと思ってたけど、違うんだ」 「伊織? 違う違う! 彼は身内みたいなものだから」  顔の前で手を降って、慌てて否定する。
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