天使は、あくまで機械である

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 ワタシは、持参した大きなトランクを足元に置いた。独立蓄電型天使制御装置、通称“天使箱”。天使が収められた、調律師の必需品さ。ところが、ワタシが天使箱を開けようとしている時に、レイヤは何度も何度も何度も扉を蹴って無理矢理こじ開けようとしている。はっきり言ってうるさい。力尽くに頼ったってどうせ開かないのに! 「静かにして!気が散る!」 「待ってられないって!」 「大量のドローンが扉を押さえつけてるんだよ!?キミひとりの力じゃ絶対開かない!」  それでもレイヤはワタシの言うことを聞かない。躍起になって扉を蹴り続けてる。バカだ。あのドローンには単体で車を引っ張れるほどの力があるのに。なのに、びっくり!レイヤは渾身の蹴りを何度も何度も何度も繰り返し、固く閉ざされた扉をとうとうこじ開けてみせた!
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