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「ちょっと待て。
勝手になにをしている。私はあっちに部屋を用意しているのに、どうして……」
「あちらの部屋は奥まっていて、好きではありません」
「君の好き嫌いは聞いていない!」
「管理人をしていた男は、あまり褒められた性格の男ではなかったとのこと。金銭で動かせる人間だったと推測されます」
「なんの話をしているのか、私には一向分らんのだが」
「分からないはずがありますまい。あの手紙を読んで、わざわざ迎えまでよこしたのですからね。
少なくとも貴方には、人を利用して私を切りつける必要性があった。その理由を今、申し上げているのです。
さて、問題は管理人を利用したのは誰か。ということです。
管理人は昼間っから酒を飲むなど、日常茶飯だったそうですね。そんな男に少女を攫わせた目的。
殺すつもりだったとは思いません。何しろ、殺すつもりで突き落とすなら、別の場所を選ぶはずですからね。
殺さざるを得ない、或いは、高い場所から落とさざるを得ない事情ができたのでしょう」
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