嘔吐

2/5
前へ
/228ページ
次へ
 「では、落ち着いた処で答え合わせといきましょうか。間違っているなら、違うと仰って下さい」  隆彦も痛みが落ち着いたらしい。あてつけがましく膝を抱えてはいるが。  礼子と隆彦は、隼人と勇一郎の指示する通り椅子に座ると、二人して圭を睨み付けた。 「まず、基本的なことから。  女学校五年生の五月、夫人は新城氏に頼み事をしました。青井貴久子様を今後一切、戸川美沙子に近付けないようにして欲しい。と。  見返りは、婚約解消しようとしている両親を説き伏せること。巨額の負債を抱えていた新城氏に、選択の余地はありませんでした。  新城氏一人では難しいだろうと考えた夫人は、問題の多いながら、金銭で動かせそうな男を雇います。瀬戸ビルディングの管理人です。  間違いがあれば、仰って下さい」  二人は寸分も動かず、ただただ圭を睨み付けるばかり。圭は二人の態度を肯定と捉えた。 「さて、二人は実行に移りますが、どういう行動をしたのでしょうね」
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加