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「先ほど私は、道端でうずくまって……と申しましたが、これでは少々受け身過ぎて、他の方が近づいて来たり、貴久子様は気付かずに通り過ぎる可能性もありますので、訂正いたします。
新城氏か管理人、恐らく新城氏でしょうね、貴久子様に声を掛けたのではありませんか?
理由は、そうですね、あの辺りは会社が多いため男性が圧倒的に多いので、少女に声を掛ける理由……妹、あるいは子供が苦しそうにしているのだけど、どうすれば良いだろう。
と、うろたえながら話しかければ、優しい人なら無視はしますまい」
一応、二人の様子を確認する。
隆彦は肯定はしない代わり、否定もしていない。この際なので、否定していないことを答えとして、話を続ける。
「部屋に首尾よく連れ込むと、二人で、女学校へ行かぬよう説得、あるいは脅迫をしていたのではありませんか?
夫人の要求は、二度と戸川美沙子に近付かないようにさせること。その為には、女学校を辞めさせるのが一番手っ取り早いでしょうから」
二人は全く、圭の話に反応しない。ただただ睨み付けるだけで、一向に答えようとはしなかった。
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