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「しかし、貴久子様は了承せず、帰ろうとしたか、悲鳴を上げようとしたか……。
あのビルディングは六時くらいまでは人がいますから、大きな声を上げれば誰かが気付く可能性は高いでしょうからね。
慌てた貴方は、口を塞ごうとしたか、逃がすまいとして暴力を振ったか……。
兎に角、屋上から人を叩き落とす必要があること、つまり、体に対し、強い力を加えてしまった。
頭か背中。強い衝撃を与えたならば、命に関わる部分。言いたいことはわかりますね?
この時、貴方は貴久子様を殺してしま……」
「私じゃない!!
あいつがあの娘を手込めにしようとしたんだ。こうすりゃすぐに言うことを聞くようになる。って」
実のところ、手込めの意味が分からなかったが、どうやら卑怯な真似であることは、隼人と勇一郎の表情が変わったことで理解できた。
「あいつと、逃げようとする娘とが揉み合いになって……。腹を立てたあいつが、娘を突き飛ばしたら……」
反応したのは、殺人が自分の罪と認識されていると感じたからだろう。
「金庫の角に、娘の後頭部が……。
私じゃない!!
だいたい、あの娘だって、大人しくいうことを聞いていればあんなことには……」
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