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「貴久子様の命を奪いながら貴方は、反省もせずいた。
そうして凝りもせず今度は、私を利用して、白梅の君を再びこの世に呼び戻そうとしたのですね。
戸川男爵の二の姫、三人の娘の中で最も母に似ている姫を私の妻にして、女の子を得る。母の血を濃く受け継ぐわけですから、似た子を得ることができるかもしれません。
もしも私が結婚をして、娘を得たならば決して、貴女には近づけやしませんよ。母のような苦しみを与えたいわけがありません。
まぁ、娘が幼い内に私と妻は、事故か何かでこの世から消えるのでしょうけれど」
礼子がまるで、肯定するかのように笑った。
「しかし夫人、もし、母に酷似した女の子が生まれたとして、その子はあくまでも母の孫であって母ではありません。似ているのは姿だけであって、完全な別人なのです。
それを理解できない貴女に愛を語る資格はありません。
貴方は戸川美沙子の美しさを愛していたにすぎず、魂などどうでも良かった。だからこそ、似た器を持つ人間をこしらえようなどと考えつくのです」
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