銃声

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 「我慢しなくて良いから、気が済むまで泣けばいいよ」  美沙子の遺体を見つけたあの日、圭は何故一緒に連れて行ってくれないのかと、美沙子を恨んだ。  あの時圭には美沙子しかいなかった。美沙子にも圭しかいなかったはずだ。なのにどうして、一人で行ってしまうのかと、心の底で叫んでいた。  心細く、寂しく、哀しかった……。  今は違う。温かく包んでくれる人がいる。生意気で我儘な自分を守ってくれる。  生きていられることに感謝していた……。
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