白紙

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 『内緒にしているのに、セーターが見つかってしまった。  「圭一君は編み物の上手なお母さんがいて幸せだね」と仰った。  気付かれていないみたい』 『お誕生日に間に合った。セーターをとても喜んで下さった。  でも、余った毛糸で作ったお揃いの手袋の方が嬉しかったみたい。  三人ずっと一緒にいられますように。とのお言葉が、私にはなによりも嬉しい贈り物』  幸せが綴られた日記。幸せであればあるほど、未来を知る隼人は辛くなる。  家族三人ずっと一緒に……そう願った和孝はその二か月後、帰らぬ人となった。遺体も、遺品も戻らぬまま、葬儀を行うしかなかったらしい。 『圭一さんはどんな大人になるのかしら? 最近よく考える。圭一さんのお嫁さんを私は見られるかしら?  ちょっと理屈っぽくて気が強いけど、和孝さんに似て優しいからきっと、良いお父さんになれるわ。  わがままを言って襲爵させてごめんなさい。貴方が爵位を重荷に思っていることは知っていたけれど、私はこれ以上和孝さんを失いたくなかったの。  貴方が大人になるまで私は守れるかしら。もし私が儚くなってしまったなら、誰が貴方を守るの?  神様に毎日お願いしています、貴方を守れますように。  貴方を守ってくれる人が現れますように』
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