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一人ぼっちのアメリア
アメリアは、3才のころから孤児だった。
アメリアと妹のアイリスの両親は、交通事故で亡くなったらしい。
そして、ちょうどその数日後、戦争が始まった。
親戚中をたらい回しにされ、その後アメリアとアイリスを引き取ってくれた叔母は、戦争に巻き込まれて、アメリアが5才のときに死んでしまった。
――その時のことを、アメリアは覚えていない。ただアメリアがわかってい
るのは、自分が天涯孤独だということだけだ。
「……やっぱりわたしは、一人ぼっち」
薄暗い森で、今日もアメリアはそう呟く。だが、アメリアは、誰かに『一人じゃない』と言って欲しかった。自分が寂しがり屋だということも、自覚していた。
――でも、もう12になるのに……
この国は、15歳から成人だ。アメリアはもうすぐ12歳になる。そのため、あと3年で成人なのだ。それなのに、自分がこんなに寂しがっていることを、恥ずかしく思っているのだった。
――誰でもいいわ。誰か、わたしのそばにいてくれる人なら……
そう思っても、誰も孤児の自分になど話しかけない。なぜなら、戦争が始まってから成人の国民は毎週、国にお金を納めないといけないため、余裕がないからだ。
それをアメリアはわかっている。だからこそ寂しさを感じるのだ。
急に分厚い灰色の雲から雨が降り出し、その雫が、1人静かに泣き出すの少女ををそっと慰めるかのように、アメリアの頬を撫でた。
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