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プロローグ
「そうか……あの子が大活躍かい……」
一人の老人は安堵のため息をついた。
畳に掛け軸。伝統的な部屋と言いたいところではあるが、ここはみなが知っている世界ではない。
精霊の里と呼ばれる場所である。
「彼がいればこちらの世界も向こうの世界も一安心ですな」
筋肉質の若者はニコニコと笑いながら老人の目の前に正座した。
「本当かの? あいつが精霊使いになった理由は仇討ちじゃ。わしはあいつが自分を失ってしまうことが心配じゃ」
老人は眉間にシワを寄せるばかりである。
「長老、なんのために彼に相棒がいるのです?」
「うむ、そうじゃったな」
老人と若者は部屋の中にある空間の狭間を見つめた。
「向こうの世界では今もディビターの侵略が続いていると……」
「LABO……やつらはこの世界と向こうの世界を融合させる気じゃ。この世界は半壊しておるがな」
老人たちの住む世界のほとんどはLABOが操るディビターという怪物との争いによって荒地になり、人々は苦しい生活を送っていた。
もちろん命を落とすものだって現れた。
そしてその刃の矛先はもうひとつの世界へと向かいつつあるのだ。
「私たちも戦えるのなら向こうの世界の侵略を少しでも止めたいのですが……」
「弱音を履いても意味は無いじゃろう。わしらはわしらで考えなければならん。わしらがやるべき事をな……ひとつはもう決まっておるが」
「精霊と精霊使いの育成……」
若者の言葉に老人は頷いた。
「分かっておるではないか」
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