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「ふぅ……アルメイダ様も困ったものだ。
実の息子にあんな酷い事をよく言えたものだな。 …………すまないな、ユキト。 この世界ではこれが普通なんじゃ。 お前もいつか判る……」
判りたくないんですが、そんな世界常識。
逆中世時代かな。
それから月日は流れ、俺は10歳となった。
まあこの年齢になると奴隷として働くのは当たり前らしく……。
「うあー、つっかれた……」
「おお、お疲れユキト。 今日も疲労困憊じゃな」
俺は邸宅の外縁部にひっそりと佇む廃屋に帰ってくるなり、ベットにバタン。
疲れた体を放り出して、マークじいさんに話し掛けた。
「ほんとマジで疲れた。 あのクソババアめ。 こんな年端もいかないガキに姉の剣術稽古に付き合えとか、鬼かよ。 つーか稽古じゃねえわ、あんなん。 一方的な虐めだろうが」
「ふむ、今日もよほどやられたらしいな。 どれ、傷を見せなさい。 薬を塗ってあげよう」
マークじいさんはそう言うと戸棚から庭にひっそりとなっていた薬草で作った回復薬を、俺の患部に塗っていく。
頬や腕、腰などに。
「いてっ」
「こんな所も怪我しておるのか」
よく気付いたな、じいさん。
まさか内太ももにもアザが出来てるとは。
「ありがと、じいさん」
「なに、お前はわしの宝じゃ。 お前さんの為ならどんな事もするつもりじゃよ」
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