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「警察だ! ここを開けろ!」
今頃来ても遅い、遅すぎる。
何故なら既に俺は…………。
「あは…………あはははははは!」
俺の命は事切れる所なのだから。
この常軌を逸脱した笑い声を上げる女の手によって。
「う、動くな! そこの男から離れ……! こ、こいつは……!」
「ひ、酷い…………同じ人間の所業とはとても……」
唯一まともに動く左目で俺は踏み込んできた刑事さんと警察官らしき人達を見た。
俺の状態は殺人事件も担当しているような刑事さんですら、青ざめる姿らしい。
全員が固まっている。
しかし、ただ一人だけは違った。
「ふひひ…………ひゃははははは!」
俺を殺した女だけはイカれた笑い声を響かせながら…………。
「あははははは!」
何度も何度も自分の頭を灰皿で殴り、変形させていたのである。
心中…………彼女はそう言った宣言を本当にするつもりなのだろう。
いや、したのだ。
何故なら俺のとなりで頭蓋骨すらもへこんだ女の人が横になり…………ニヤリと微笑んできているのだから。
「ふへ……うへへへへ……。 これで来世も一緒だね、川宮雪人くん…………ふひ」
冗談じゃない、お前なんかとはもう関わりたくない。
いや、こいつだけじゃない。
女という存在に俺はもう関わりたくないのだ。
だから死ぬ間際、神様にこう祈った。
どうか来世は…………この世界で生まれませんように、と。
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