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「それにしても、珍しい事もあるものですね」
「何がだ」
「何がもなにも、あなた方がこうして一緒に居る事が、です。 巷で噂になってますよ。 騎士団長カレリア・カセドラルの親友、ルエル・カサンドラ。 いえ……ルサルカ・ヴィッツエーニはカレリア・カセドラルと袂を分かったと。 なのに何故今こうして隣り合っているのか、不思議でありません。 何故ですか? 元王国騎士団副団長兼断罪者のルサルカ・ヴィッツエーニさん」
ルサルカ・ヴィッツエーニ……?
それに断罪者ってのは一体……。
「……一つ言っておく。 ルサルカ・ヴィッツエーニの名は、とうに捨てている。 ヴィッツエーニ家に追放された時、暗き過去と共にな。 今のわたしの名はルエル。 新たな人生をトワラン様より頂いた、ルエル・カサンドラにすぎん。 間違えるな、冒険者」
「ではやはり本当なのですね、あの話は。 貴女があのルサルカ・ヴィッツエーニ。 反逆者の処罰を代々担ってきた断罪者を輩出する、ヴィッツエーニ家最後の……」
「黙れ。 それ以上下らない言葉を発してみろ。 その首を焼き斬るぞ」
「………………」
なんとなく見えてきたかもしれない。
ルエルがどうして王国騎士団から離反したのか。
そして、トワラン様に忠誠を誓っているのか、を。
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