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「はーい。 喧嘩はそこまでよぉ」
二人が睨みあってると、間に入ったカレリアが手を叩き、注目を集めた。
「カレリア……」
「ですが彼女が本当にヴィッツエーニ家の者なら、王国に隠された闇の真実を……!」
「確かにルエルちゃんなら知っているかもしれないわぁ、この国に隠された裏側を。 でもそれを知って、リヴィアちゃんはどうするつもりなの?」
「え? ……それはもちろん、あのような愚かな行いを止める為直談判を…………」
「残念だけどそれは不可能なのよ、リヴィアちゃん。 貴方が何を叫んだ所でこの国は揺るがない。 ヴィッツエーニ家が……三貴族が政治を執り仕切る以上ね」
三貴族?
初めて聞く名だな。
……いや、待てよ。
確かに名は聞いた事ないが、政治に関わる家はそう多くない筈だ。
そう、それこそルルモンド家のような、王家縁の家でもなければ……。
「何故、そう言い切れるのですか。 彼女が本物の前ヴィッツエーニ家当主だと言う事が判明すれば、彼女の言葉には効力が宿る筈です。 それこそあの三貴族だろうと、今までの愚行を認めないわけには……」
「さっきも言ったけどそれは不可能なのよ、リヴィアちゃん。 だってルサルカちゃんはあの日、反逆者の烙印を押されて内々に処刑された事になってるんだもの。 国民はもちろんそんな事実、知らないでしょうけどね。 ……だから仮にリヴィアちゃんがこの子から知りたい情報を得られたとしても、その情報に正統性は皆無と判断されてしまうと思うわ。 彼女はルサルカ・ヴィッツエーニではなく、ルサルカちゃんの従姉妹に当たるルエル・カサンドラちゃんだからね。 ねっ、ルエルちゃん」
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