二大騎士団協力戦線 ──2──

5/5

159人が本棚に入れています
本棚に追加
/616ページ
 一瞬呆けていたルエルだったが、カレリアの呼び掛けに意識を取り戻し──── 「あ……ああ、そうだな。 つい焦って自分が従姉のつもりで話してしまった。 すまぬ、カレリア。 面倒をかけた」 「ふふふ、気にしないで~。 焦っちゃうとつい口走っちゃう事もあるわよねぉ。 リヴィアちゃんもそういう時、あるわよねぇ?」  いやいや、流石にそれでは納得しないだろ。  もう少し捻った嘘をだな。 「……わかりました、今はそういう事にしておきます」    って、納得するんかい。  まあリヴィアがそれで良いなら俺は別に構わないんだが。  「んで結局のところ、何故貴様ら王国騎士団は、離反した旧王国騎士団の連中と今更ながら組んでいるのだ? 我に話してみよ、特別に聴いてやろう」 「し、師匠! そんな不躾な! 少しは空気を読んでください!」     奴隷である俺を除いて、最も身分が最も低いエリンの不遜な物言いに、セシルが慌てる中。  腕組みをしているルエルが、カレリアを一瞥しながら── 「別に大した理由ではない。 トワラン様より王都を守るよう命じられたから、仕方なく国の使いっぱしりどもを利用したにすぎん。 それだけの話だ」 「は~い、利用されちゃってま~す。 恩を仇で返したルエルちゃん達に、仕方なく~」 「ふん……それは貴様の方だろうに、このクソ博愛主義者が。 どうせ今でも浮気上等な生活を送っているのだろうな、貴様は。 反吐が出る」 「あら、酷い言い草。 愛は多ければ多いほど良いものよ? そんなだからいつまで経っても、男をお金でしか手に入れられないのじゃないかしらぁ。 ね、素人処女さん?」 「な、なんだとっ! もう一回言ってみろ、カレリア! 事と次第によっては……!」    ちょっと喧嘩しないでくれます!?  この二人、思いの外仲悪いんだけど!  仲良しかと思ってたわ!    
/616ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加