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一瞬呆けていたルエルだったが、カレリアの呼び掛けに意識を取り戻し────
「あ……ああ、そうだな。 つい焦って自分が従姉のつもりで話してしまった。 すまぬ、カレリア。 面倒をかけた」
「ふふふ、気にしないで~。 焦っちゃうとつい口走っちゃう事もあるわよねぉ。 リヴィアちゃんもそういう時、あるわよねぇ?」
いやいや、流石にそれでは納得しないだろ。
もう少し捻った嘘をだな。
「……わかりました、今はそういう事にしておきます」
って、納得するんかい。
まあリヴィアがそれで良いなら俺は別に構わないんだが。
「んで結局のところ、何故貴様ら王国騎士団は、離反した旧王国騎士団の連中と今更ながら組んでいるのだ? 我に話してみよ、特別に聴いてやろう」
「し、師匠! そんな不躾な! 少しは空気を読んでください!」
奴隷である俺を除いて、最も身分が最も低いエリンの不遜な物言いに、セシルが慌てる中。
腕組みをしているルエルが、カレリアを一瞥しながら──
「別に大した理由ではない。 トワラン様より王都を守るよう命じられたから、仕方なく国の使いっぱしりどもを利用したにすぎん。 それだけの話だ」
「は~い、利用されちゃってま~す。 恩を仇で返したルエルちゃん達に、仕方なく~」
「ふん……それは貴様の方だろうに、このクソ博愛主義者が。 どうせ今でも浮気上等な生活を送っているのだろうな、貴様は。 反吐が出る」
「あら、酷い言い草。 愛は多ければ多いほど良いものよ? そんなだからいつまで経っても、男をお金でしか手に入れられないのじゃないかしらぁ。 ね、素人処女さん?」
「な、なんだとっ! もう一回言ってみろ、カレリア! 事と次第によっては……!」
ちょっと喧嘩しないでくれます!?
この二人、思いの外仲悪いんだけど!
仲良しかと思ってたわ!
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