姉と弟と泥棒猫と ──1──

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姉と弟と泥棒猫と ──1──

「──よし。 んじゃ、そろそろ行くとしますか」  カレリアから一通り南門の状況を確認した俺は、次なる戦場。  都市西側に広がる貴族街へと向かう為、椅子から腰を上げる。 「なんだ、もう行くのか? サメの数もだいぶ減ったのだし、後は騎士団に任せて少しゆっくりしていってもバチは当たらんと思うが」 「俺だってそうしたいのは山々だけど、女王様から直々のお達しだからな。 サボる訳にはいかないだろ。 それにジッとしてるのは性分に合わないし」 「ふっ、お前らしい。 では行くとしようか」  と、ルエルも立ち上がった時。  ふとカレリアがルエルにこんな事を尋ねた。 「ちょっと待ってルエルちゃん。 その格好のままで行くつもり? 話によると仮の防衛拠点になってるルルモンド家に行くんでしょう? 多分大丈夫だとは思うのだけど、もしもを考えたら変装した方がよくないかしら」 「あ、確かにな。 わたしがルサルカだとバレては元も子もないか」 「そうよぉ。 もしバレたりしたら今度こそ処刑に……」  おい、聴こえてんだよ、聴こえちゃいけないやつが。 「ごほん! うおっほん! あー、お二人さん。 俺がまだ居るのを忘れていませんかね」 「「!」」  わざと咳払いしながら伝えると、カレリアがルエルの二の腕をバシバシ叩いて。  
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