こんな最低な世界で

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「ふん、こんな小汚ないところに用など一つしかありません。 わたくしの愚息、ユキトはどうかと見にきたのです」 「おお、そうでしたか。 すくすく育っておりますよ、この通り……」  おいやめろジジイ、そいつに俺を近づけるんじゃない。  香水臭いんだよ。  それにこの女はどうせ……。 「汚らわしいものを触らせようとするな。 わたくしはただ15歳になった時、まっとうな売り物になるか気にしてるだけですわ」 「…………はい」  本当に最悪な世界だな、この『アーベルジュ』という異世界は。  なんでもこの世界では女尊男卑が普通らしく、男は基本奴隷らしい。  夫を持つことも無いそうだ。  だからと言って俺にも父親は居る。  子種の仕事を終えたら直ぐに売られたらしいから、顔とかは知らないが。  そんな世界だ、アルメイダからしたら男である俺はルルモンド家の恥さらしにしか過ぎなく。  出来るだけ一目につかさず、さっさと売り払いたいのだろう。  とはいえ赤ん坊では大した額で売れないから、それなりに肉体が整ってから……という計画なのだと思われる。  クズめ。 「では命令通りに育てなさい。 出来なければ貴方の命を差し出してもらいますよ」  アルメイダはそう言い終わると、外で待っていた長女フェイエルと合流し、邸宅へと帰っていった。
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