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「シキ? 式神の式かのぉ? でも式神と涙牙じゃ全然違うで?」
銀太の襲われたという報告を受けて、翌朝には士鶴が事務所にやって来た。
応接用のソファーにローテブルを挟んで。2人で向かい合い話していた。
と言っても銀太は説明を終え、今は聞く一方だ。
足と腕を組み、じっと考えを巡らしながら、士鶴の話を聞いていた。
士鶴は話を続ける。
「涙牙は今でこそ、お前の僕やが、昔は自立した存在やった。とはいえ、怨霊のようやが、怨霊とも違う。攻撃本能はあるが恨み辛みは感じへん。攻撃に対して、反射的に攻撃を返す。そして、攻撃を始めると相手が沈黙するまで止まらない。機械みたいやった。その辺は式神に近い気もする」
「うーん。そうかぁ?」
「ただgulgalta13は——」
「知ってんのか?」
俯き考えていた銀太は顔を上げた。
「知ってるつーか」
「術者か?」
「いや、町田會の別名や」
「え゛ッ!? 町田會ってお前が居た所だろ!」
「別名って言ったって、他の組の奴等が勝手に付けた字名みたいなもんで、元ネタが存在しとる」
「元ネタ?」
「都市伝説や」
「都市伝説?」
「gulgalta13はヤクザ社会の都市伝説や。まあ町田會も今ではヤクザ界の都市伝説みたいなもんやけどな……。gulgalta13は裏社会専門で仕事を請け負う始末屋集団や。正体不明どころか、実際するかすらも眉唾やった。名前から、外国人集団とも言われとった。確かgulgaltaつーのは、どっかの国の言葉で——」
「髑髏の意味だろ。アラム語らしいが、アラム語なんて全く分からん」
「——で、その都市伝説のコンセプトを丸パクリしたのが、ワイの居た町田會や。武闘派ヤクザの中に、ワイという天才術者が混ざる事で、完全に跡形も無く一切の証拠も残さず依頼されたターゲットを消す事を実現させた訳やが——。本物のgulgalta13が術者集団なら、都市伝説も伝説やないのかもしれへんな。十分出来る。しかも涙牙タイプか? 涙牙は特殊や。さっきも言ったように、分類するなら怨霊の類やけど、実質現状では正体不明や。お前に言ったのが(六道丸の力が)ハッタリやとしても、相手の力は未知数や。ただ都市伝説が本当なら、ヤバイ奴らと言うのだけは確かや」
「なんにせよ、面倒なのに狙われたみたいだな? 涙牙が狙いらしいが、涙牙なんかどうすんだよ?」
「まあ、油断はでけへんが、来たら適当にワイらで追っ払えばええやろ? 負けへんやろ?」
「そうだな」
危機感の無い2人であった。
士鶴は話が終わると、gulgalta13について昔の仲間に訊いてみると言って帰って行った。
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