世界を救った少年ぱっくん

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「僕のパソコンを使うのは、よくないかもしれない。アクセス元がバレたかもしれないから。カナミ、君のパソコンを貸してくれないか。あさってまで」  ぱっくんは大真面目だ。私は五秒だけ考えて、 「うん分かった」  教室に急いでパソコンを取りに戻った。 「ありがとう」  ぱっくんは、念のため、と言って私が伝えたパスワードでパソコンを開いた。 「何だこれ」 「え?」 「りゅうじがしんじのくちびるにゆ」 「わーっ」  あわててパソコンを奪い、消去、消去、消去した。昨日の晩、中学校生活最後の思い出にと全力を尽くして、BL小説を書いていたのである。何をやっているのだろうか。 「ぱっくん、お願い。見なかったことにしてくれない」 「う、うん」 「ぱっくん、あのさ」 「何」 「開けてはいけないドア、開け過ぎ」  翌日。つまり、卒業式の前日。  ぱっくんは頭をかかえながら、ずっと私のパソコンをいじくっていた。 「どう?」  卒業式の予行練習で隣になったので、聞いてみる。 「どうにもならない」  とだけ、ぱっくんは答えた。 「そうなの……」  私は同情したが、そんなの当たり前ではないか、とも思った。  何をしてるのぱっくん。
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