世界を救った少年ぱっくん

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 知らない方がいいことも、あるのに。  国レベルの話なんて、十五歳の男の子に何ができるというんだろう。どうにもならないに、決まってるではないか。  それよりも、十五歳の男の子がやるべきことを、するべきだ。  たとえば、女の子に告白してみるとか。永遠の友情を誓うとか。 「カギ」のかかった場所に大事なことがあるとは、限らない。大事なことは、扉を開けるべき場所は、目の前にあるのでは、ないでしょーかっ? 「まあ、やれるだけ、やってみるよ」  そう言うぱっくんの目の下には、うっすらとクマができていた。  心配だ。 「ぱっくん、あまり悩まずに、ちゃんと寝なよ」  下校前にかけ寄って、私はぱっくんにそう伝えた。 「明日は卒業式だしさ。考えても仕方がないことも、あるよ。そうだ、私の「迷路」のフォルダとか見てみてよ。明日パソコン返却しないとだし、思い出に。ぱっくんが教えてくれたから、ほんと楽しかった」 「……そうだね」  ぱっくんはふにゃっ、と力なく笑った。  卒業式当日。  こんな気持ちで卒業の日を迎える中学生が、いるだろうか。  私はただただぱっくんのことが気になって、しょうがなかった。  ぱっくん大丈夫だろうか。
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