世界を救った少年ぱっくん

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 ちゃんと、眠れただろうか。  そして私たちは無事、卒業できるのだろうか。  果たして。  ぱっくんは登校してきた。  笑顔で。  しかも、来るなり私をぎゅうっと、抱きしめたのだ。人目もはばからず。  私を含めクラスメイトたちはぎょっとしたが、ぱっくんならではのマナーなのだと気を取り直した。牛乳びんのフタを、爪ではなく先割れスプーンの先で開ける生徒を見かけた時のように。 「カナミ、君は女神だ」  ワードが強い。ぱっくんは、少し興奮していた。 「君は僕の国を救ったんだよ」 「え、ほんとに?」  金魚をすくったみたいに言うではないか。私は返事に困った。 「うん。多分大丈夫だ。カナミ。ありがとう」  と言って、パソコンを返してくる。 「あ……、うん」 「あのさ。先生に返す前に、一回見てくれない、中」 「中? パソコンの中ってこと?」 「うん。電源入れたら、すぐファイルが立ち上がるはずだからさ。見てくれない」 「……うん。分かった」 「じゃ。ありがとう、本当に」  チャイムが鳴ったので、そこで話は終わりになった。
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