世界を救った少年ぱっくん

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 と、パソコンをぱっくんの手元に寄せた。  ぽよん  ぽよん  ぽよん 「わーお」  ある地点でスターをゲットすると、人形のお尻からお花が出てきて、歩けば歩くだけお花の道ができるという趣向にしてみたのである。  簡単な仕掛けだったけれど、ぱっくんは「あー」とか「だー」とか言って、何回も何回も試してくれた。 「カナミ、これ、かわいいねえ」 「う、うん」  男の子に「カナミ」と言われるのも「かわいい」と言われるのもなかなかないことだったので、どきんとしてしまった。  情報処理の授業は視聴覚室で行った。視聴覚室など特別教室を用いて授業を行う場合は、出席番号順になる。だから、情報処理の時間はぱっくんといつも隣だった。  おかげで、私の情報リテラシーは、中学三年生の一年間で格段に上達した。  いや、情報リテラシーと言っていいのかどうか。ぱっくんと私が授業の合間に見ていたものは、開けてはいけないはずのカギがかけられた、扉の向こう側、だったので。
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