世界を救った少年ぱっくん

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 帰る道々、あれこれセキュリティを強化する方法を考えた。しかし相手はぱっくんだ。ぱっくんに破れないセキュリティなど、思いつくはずもない。だから私は、泣く泣く一方の名前を全て女性に書きかえ、いかがわしい描写をことごとく削除した。ああ、わが芸術よ。私が自前のパソコンを買える日まで、待っていておくれ。  そんなわけでBL小説の執筆を封印した私だったが、代わりに没頭したのは、プログラミングによる簡単なゲーム作りだった。  本当に、大したことない。迷路を作って、やり切ったと思ったらまた迷路をいちから作る。それだけである。  だけど面白いのは、同じ迷路を二度と作れないことだった。似たBLはあれど同じBLなどないことと、同じことだ。新しい仕掛けを思いついた時には、すぐぱっくんに学校で公開した。 「アドレスを教えてくれたら、家で見れるヨ」  と、ぱっくんは言うのだが、そういうことではないのである。私が作った仕掛けにハマった時の、ぱっくんの「あー」とか「だー」が聞きたいのだ。この耳で。
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