世界を救った少年ぱっくん

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 プログラミングを通じてぱっくんと仲良くなってからは、残りの中学校生活は割と楽しくなった。受験など、未来の分岐点はじょじょにその姿を現しつつはあったものの、未来は未来に過ぎなくて。創作が好きな私には恋愛も友情もどこかピンとこなくて、パソコンの中に浮かび上がるニセモノの世界の方が、よっぽどリアルに私の心に刺さったのだった。  でも何事にも終わりは来る。  私はいつまでも中学生ではいられない。日本では普通、中学生の次は高校生にならなければならない。そして進学先となる高校を選ばなければならない。  ぱっくんは、アメリカのハイスクールに通うのだそうだ。  アメリカ?  ハイスクール?  何もかもうそみたいだったけど、ぱっくんの中では当たり前のことのようだった。お父さんの仕事の都合で、こういったことは何度も経験済みなのだそうだ。朝の次は昼。昼の次は夜。日本の次はアメリカ。ぱっくんは旅をしながら育ってきた。空に浮かぶ月のように。ずっと醤油の香りの中で育った私とは、違う。  そっか。
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