世界を救った少年ぱっくん

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 サブスクで、いつもは聴かないグローバルのヒットチャートを聴いてみる。ヒットチャートは各国に分かれており、「アメリカ」を開いてみた。ほとんど誰も分からない。聴きながら、迷路をいじくっている。  いけてない迷路だ。いけてる迷路がどんなものかは分からないけど、いけてないことだけは分かる。 「アメリカ」のヒットチャートも、何がいいのか全然分からなかった。そもそも言語が分からない。  何がいいのか全然分からないことは、私をわけもなく不安にさせた。  それでも無事平穏に時は過ぎ、私は地元のまあこれくらいでいいんじゃないかという高校を受験した。絶対落ちないという根拠のない自信があったので、それでも受験勉強よりは迷路ばかり作っていた気がする。  どちらかというと、ぱっくんの方が何だか最近思い悩んでいるようだった。何だろう。アメリカに行くような人のことは、よく分からない。外国人のことは、よく分からない。国籍以前にそもそもぱっくんのことなんて、私はよく分からなかったのだ。「カギ」を開ける能力以外は。 「カナミ。聞いてほしいことがある」  と、卒業式も近いある日、ぱっくんに突然そう言われた。 (キタッ)
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