18人が本棚に入れています
本棚に追加
「カナミ。君のパソコンを貸してほしい」
……まず思ったのは、それはないだろう、ということだった。
放課後の呼び出し。
二人きりの視聴覚室。
そして、今週末には卒業式である。
普通なら、「カナミっ、好きだっ」とか言われて、下手すりゃ押し倒されて事に及ぶ流れでは、ないだろうか。まあ、ぱっくんとは、いやぁ、どうしようかなぁ、と、さっきまで思っていたことは思っていたが。
クニ?
「何それ」
「カナミ、僕は、開けてはいけないドアを開けてしまった」
話の内容よりも、ゥドゥアー、というネイティブチックなぱっくんの発音の方が、気に障った。ぱっくんはやっぱり脳みそが違う。今や〇〇語、●●語、英語、そして日本語も自由自在だ。このままでは天才ハッカーまっしぐらである。
「開けてはいけない、ドアー、とは」
「パソコンをいじっていたら、僕のとなりの国の会議室に入ってしまったんだよ。何だか恐ろしい話をしてた。あさって、国境に爆弾を落とすらしい。開戦の合図に」
「ええっ」
どうパソコンをいじったら、そんな大事な会議に参加できるというのだ。
最初のコメントを投稿しよう!