世界を救った少年ぱっくん

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 私のクラスには一人だけ、外国人の男の子がいた。みんなは彼を「ぱっくん」と呼んでいた。  ぱっくんの特技は、パソコンである。ぱっくんはパソコンの中の様々な「カギ」を開ける能力があった。私の席はぱっくんの隣だったから、見てしまったのである。ぱっくんの特技を。  それは、情報処理の授業の時だ。それぞれ配布されたパソコンを使って、その時はプログラミングの演習をさせられていた。  どうしても分からないところがあったので、ぱっくんに聞こうと顔を近づけて、私はびっくりした。ぱっくんは、演習とは全然関係ないゲームをしていたからである。 「何それ」 「ゲーム」 「いやそうじゃなくて。授業と関係ないページは、アクセスできないはずでは」 「アクセス? できるよ。カギ開けるダケネ」 「カギ? え、でもそれ、不正アクセスというのでは。やっちゃっていいの?」 「え、でも、簡単。できるヨ?」  と、押し問答になっているうちに、先生が通りすがった。 「先生。いいんですか。これ」  ぱっくんのゲーム画面を指差す。  先生は一瞬立ち止まったけれど、 「ああ、いいよ」  と、あっさり言うのだった。
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