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私は何が起こっているかまだ思考が回らない頭で頑張って考えた。
壁、壁、壁!!!!
私の息子を壁の中に連れ込もうとしているのだ!!!
私はがむしゃらに叫んだ。
「待って!!!せめて少しでも触れさせて・・!!!」
代表の医師は仕方がないと言った表情をし、急いでいるのを表すかのように無言で息子を私に渡した。
私は咄嗟に自分の着けていたネックレスを外して、この世の物とは思えないほど愛おしく小さな手に持たせた。
そしてお別れのキスをおでこにする。
お別れ。
お別れ。
。。。
こんなことは想定内に入れていない。
可能性としてあったが、今まで、ここで産むまでその可能性を心から否定していた。
息子を渡すと医師は合図を出し、他のメンバー達と走り去っていった。
隣に助産師だけが残った。
悲しみを分かち合うように私の背中に手を添えたが、私は床に崩れ落ちて泣いてしまった。
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