別の顔

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別の顔

中村アキが放課後、校門を出ると学校の前にあるバス停のベンチで月子が本を読んでいた。 マジか… と呟いた後、座っている月子に駆け寄ると話しかけた。 「水上さん、こんなところで何してるの?」 「友達と待ち合わせ」 とそっけない返答が帰ってきた。どうやら友達向けのサービス期間は完全に終了したらしい。 「ああ 友達と待ち合わせね…」 何を話したらいいのか言葉が続かない、 一瞬迷ったがすぐに本題に入る事にした 「水上さんはSNSとかLINEはしてないの?」 「してない スマホ持ってないし」 ハイ 終了しました。  アキは心の中で叫んだ  秒殺された。 「あっ… あっ そうなんだ そうなんだねー」 動揺して同じ台詞を繰り返してしまう 明らかに挙動不審だった。 諦めて それじゃあ と言いかけた時に月子がアキに向かって手を出した。 「スマホ貸して」 アキは状況が理解出来ず、慌てて自分のスマホを月子に渡した。 「ロック解除してくれる?」 ロックを解除して再び月子に渡した。 月子は誰かに電話するつもりらしく スマホに番号を入力すると発信する。 ワン切りするとアキにスマホを返した。 「コレ私のガラケーの番号 スマホは持ってないから。」 業務連絡でもするように淡々と話す。 急な展開で頭がついてこない、よくわからないが月子の連絡先はゲット出来たようだ 「うん わかった ありがとう」 思わず笑顔が浮かぶ 「もし、いらなかったら削除して そんな事ないと思うけど」 とサラッと言ってのけた。 彼女は自信家なのか? と思ったが図星だったので、そんなに物欲しそうな顔でもしていたかと恥ずかしくなった。 「月子ー」 声がしたので振り返ると学校の方から手を振りながら、こちらに向かってくる女子生徒の姿が見えた。 月子は今までとは、うってかわった笑顔で友達に向かって手を振っている 友達用の顔の月子は何処にでもいそうな可愛い女子高生に見えた。 「後で連絡するから」 と言って立ち去ろうとするアキに月子は一瞬視線を送ると、ヒラヒラと手を振って答えた。
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