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最後の晩餐
私の名は、神崎 一 という
私の特技は、死期が近い人間が最後に食べる物を味わう事が出来るというものだった。
もし私の口の中に、食べてもいないのに食べ物の味が広がった時、目の前にいる人物は十中八九、近々亡くなる。
私はこれを最後の晩餐と呼んでいる。
この才能に初めて気づいたのは小学生の時、末期癌の祖母の病室だった。
ある事件をきっかけに、この特技の事は誰にも話してはいない。
そもそも他人の死亡宣告などしても誰の為にもならないのだ。
それが末期の病人ならまだしも元気な人なら、なおさらだった。
自分なりに、この死亡予告を回避出来ないものかと試行錯誤してみたが、結果として何も変える事はできなかった。
人に運命というものがあるとして、もしそれを神という存在が決めているなら
人の寿命などは神のみぞ知る領域なんだろうなと漠然と考えた。
80億近い人間1人ずつに運命を刻むのも骨が折れそうだと苦笑する。
世界中には神が溢れているから分業すればいいか…
ばちあたりな私に、神は要らぬ能力を与え私の人生は少し複雑なものになった。
しかし神からしてみれば、
そんな事は鼻くそ程の価値もない事なのだろう。
泣きながら笑いながら今日を必死に生きていた。
だから私は知っていた…
神は優しくはない
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