最後の階段で

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目を覚ますと青空の下だった。 ここ数ヶ月外に出られなかったため すごく新鮮に感じた。 そして目の前にはざっと100段以上ある 長く、そして天に昇る白い階段があった。 「ここは...どこだ...??」 周りを見渡すが何もない。誰もいない。 白く、ゴミのひとつもない地面。 それがどこまでも続いていて、 青い空と混じり合っている。 とりあえずこの階段を登ろう。 そうすれば誰かに会えるかもしれない。 階段を見据え、一歩踏み出した。 身体が軽い。 もう一歩、もう一歩と歩みを進める。 全く息が乱れない。 (もしかして、俺はもう...) 足を動かしながら、ゆっくり、一段、一段進むごとに自分の“死”を悟った。 階段はもう半分以上登っただろう。 「ん...??」 数十段先に何かがいる。 思わず足を早める。 ぼやけていたシルエットがクリアになっていった。 「!! クロ!!」 そこにいたのは30年以上前に死んでしまった 飼っていた黒猫だった。 そうだ、この子の名前はクロだった。 「クロ....もしかしてお前、待っててくれたのか..?」 にゃぁん、と生前と変わらない鳴き声だった。 手を近づけると少し警戒する様に匂いを嗅いだ後、 自分の顔を擦りつけてくる。 そのまま顎をこしょこしょと撫でると、 ごろごろと気持ち良さそうに目を細めた。 変わらない姿に少し泣きそうになる。 クロは自分に背を向けて 軽快に階段を数段駆け上がり、 まるで「早く行こう」と言わんばかりに こちらを見た。 「待ってくれよ、クロ こっちはもうおじさんなんだから」 そう呼びかけながらまた階段に足をかけた。 もう少し階段は続きそうだ。 これからの行き先が少しだけ 明るくなったような気がした。
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