自分を信じて。

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「ただいま」 リビングで夕食の支度をしている母親に声をかけた。 「おかえり。ちょっとはる子、荷物置いたら来てくれる?」 「はい」 と言って服を着替えてリビングへ戻った。 母親の横で手を洗い、夕食のおかずを覗いていたら、 「ちゃんと進路のこと、考えてるの?」 やっぱり進路の話だった。 「買い物の帰りに考えてたんだけど、食に関わる仕事が出来たらいいなと思って」 「食に関する仕事? なんでそう思ったの?」 「文集に書いた将来の夢を読んで。」 「なんて書いてたの?」 「みんなに美味しい物を食べてほしい……。」 と言ったら、母親はくすくすと笑った。 「食べ物なら、製造業か飲食店がいいんじゃないかしら?」 「なら、大学へ行って資格を取るか、高校卒業してから働くかどっちがいいと思う?」 と聞くと、母親はすぐに私の質問には答えず、グリルの魚の様子を窺っていた。 お皿に魚を盛り付け、テーブルの上に置くと、 「まあ、親からしたら大学入ってほしいわ。はる子は、四年間頑張れるの。楽しくないから、退学する人もいるのよ。もちろん、バイトもしてほしいわ。」 と真面目に返ってきた。 どうしようと、迷っていたら、 「ただいま」 と父親の声がした。 「お父さんが帰ってきたから、ご飯装ってくれる?」 私に言い、お茶碗をテーブルの上に出した。
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