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どんなに顔が似ていても、俺はテセウスじゃねーんだよ!
「死んじまった恋人には、勝てねぇよ……」
……とここまで考えて、ゾラは思わずガバリと起き上り、両手で頭を抱える。
「……そっか、俺……けっこう本気で嬢ちゃんのことが好きだったのか……」
好きでなければ、テセウスの代わりでもなんでもいいはずだ。それが、迂闊に抱いちまったもんだから、そこから一歩も先に進めなくなってしまった。
「あり得ねえ……俺こそ、正真正銘のアホだな……」
ゾラはもう一度、ぽすりと寝台に背中を預けると、両手で顔を覆って身悶えた。
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